潮田亮平(うしおだりょうへい)講師
出身高校:北見北斗
旭川医大医学部医学科6年 地域枠・現役合格
高校時代の栄光:数学・物理センター模試100点
質問担当教科:小論文・面接対策
受験に関するエトセトラ
医師を志したきっかけ
僕が医師を志したきっかけは、高校二年生の夏に地元の病院の内科医が一斉退職したニュースを、旭川医科大学の地域医療再建のための取り組みの一つである高大病院連携の公演で聞いたことでした。それまでは医療に興味はなかったけれど、自分が地域に住むようになって、身近だった医療が危ないという状況に危機感を覚えたんです。誰か新しいお医者さんが来るのを待つのではなく、自分がお医者さんになって地域の医療を支えたいと思いました。これが僕が医学部を志した動機です。それまでは親が教員だったこともあり、教師になりたかったです。
しかし、その時点での偏差値は北見北斗高校で真ん中くらいでした。先生に「医者になります」と言ったときに「3浪は覚悟しろ」と言われました。でも覚悟はしませんでした。「なにいってんだこいつ」と思いました。その先生を見返してやろうと思いました。母親にも反対されました。でもやるっていった以上やり通したいという気持ちがあり、本格的に勉強を始めました。
もともと東進ハイスクールに通っていたので、高校2年生のうちに高校3年生までの授業を全部終わらせました。数学、社会、理科はノートを作って、わからなかった問題をすべてそのノートに書いていました。模試の前にノートを見直して問題を解き、その模試でわからなかったところをまたノートに追加してという作業を繰り返していました。すると、センター試験の内容に関しては初めて見る問題はなくなりました。
部活は3年生の10月までやり続けました。部活後に塾に通い、必ず毎日勉強する事を徹底していました。得意だった科目は数学です。ワークに載っている問題はすべて覚えました。わからない問題に付箋を張り、2週目は付箋を貼っているところだけ解きということを繰り返していました。だから頭の良い勉強の仕方は特にしてないんですよね。
「それだけやったら絶対医学部でも東大でも行けると思います。だけど学校や部活がある中でそれら全てをやれるわけではないでしょう。」というふうに諦めるのが嫌だった。目の前に手段があって、可能性があるのに、それをやらないのは嫌だった。どれだけ辛くても、やり通すということを一番大切にしていました。
中学の時から陸上をやっています。どのスポーツもそうだと思いますが、才能と努力が必要です。僕は長距離やマラソンは唯一努力が才能を上回る競技だと思っています。やったらやっただけ数字として結果が出ます。勉強のように二次関数的な伸び方はしません。努力に比例して速くなります。だから試合の時には、今までどのような練習をしてきたかが簡単にわかってしまいます。
結果が悪かった時に、「もっとやっておけばよかった」と中学生の頃はいつも後悔していましたが、高校に入ってからはもう後悔するのはやめようと決めていました。部活に情熱を注げるのは高校が最後だと思っていたので、引退したときにやれるだけやったと思えるようにできる限りの努力はしました。
高校時代の戦績は全道で2番でした。インターハイは怪我をして行けませんでしたが、駅伝も三年連続で入賞しました。何事も続ける事が大切だということを身を持って学んだような気がします。
陸上部では400メートルを10本走ったり、20キロ走ったり、毎月300キロくらい走っていました。部活の顧問が厳しかったんです。
残念なことに、中高の6年間でその後の一生がほぼ決まるわけです。どうせ人間はいつか努力しなくてはいけない時が来ます。それだったら今、一番努力した結果が身を結ぶ学生の時期に、楽しいこともたくさんあるかも知れないけれど、少し我慢して努力することが大切なんじゃないかと思います。
作文がとても嫌いでした。小学生のころから400字のマスがどうしても埋められなかった。だから大学受験の時に小論文が必要になって、とても大変でした。医学部受験生のための高校生の病院実習があって、その時にであった病院の院長先生に、後日自分から連絡をして、今の日本の医療の現状を医師ならではな視点から聞いたり、小論文、面接の対策などをしていただいたりしました。その先生には大学に入った今でもとてもお世話になっています。
医師を志したきっかけは「人の役に立ちたい」という心でした。その一心で受験勉強を頑張り、現役で地域枠で入学することができました。でも医者になれるレールに乗っかった今こそ、色々な世界を見て、色々な人の話を聞いて、価値観を広げることが「良い医者」になるためには必要なんじゃないかと思い、病院実習に積極的に参加したり、勉強会を開いたり、日本学生連合や旭川の学生自主組織(ハシックス)の代表を務めたり、色々な活動を行ってきました。
それらを通して学んだことは「謙虚」な姿勢が本当に大切なんだということです。今まで僕は、ひとと違うことやひとより何かが出来ることそのものが、アイデンティティになっていました。それはそれで良いことだとは思いますが、そこに奢りが出始めると、それ以上動こうとしなくなったり、否定する人を受け入れなくなったり、誇示し始めてしまいました。
他者のために何かをして、それに喜びを感じる。しかしそうすることで自分を保ち始めてしまうと、なんだろう、いつのまにかそれが自分のためになってしまい、だれかのためにやっているんだけど、その先に相手がいなくなってしまっている時期がありました。例えば、人民のために政治をします、と言いますが、それはどこの誰がよろこんでいるのか?という問をかけられた時に、人民としか言えない患者のための医療をします、と言っても患者のために頑張っている自分がかっこいいと思うようになってしまうと、知らぬ間に自分本位で物を考えてしまい、患者さんのために本当は何ができているかを考えなくなってしまう。それほど虚しいことはないと思う。そういう経験をしました。
謙虚っていうのは、簡単に言えば調子のんなよってことなんですけど、やっていることとか出した結果に疑問を問いかける姿勢だと思います。中高生達には友達だけじゃ考えないようなことなどを指導していきたいという気持ちがあります。「なぜ勉強することが大切なのか」「なぜ自分の好きなことだけをして生きていってはいけないのか」など色々な視点を持ってほしいなと思います。自分がそうしてもらっていたように、様々な視点を与えられる存在でいたいと思っています。
苦手だった科目は英語です。ただ単に単語と熟語を覚えることに意味はありません。英語は言葉だから、やっぱり文章を読んだり聞いたり喋ったりしなきゃいけなかったのかなと今になって思います。それをやっていかないといつまでたっても知識が点のままなのだと思います。僕はその作業を受験本番ギリギリまでやらなかったから、いまだに英語が苦手です。
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